puffpuff0001 年金生活者のブログ 雨のち晴れときどき竜巻

年金生活その他についての考察あれこれ

年金生活(17 )


母を見舞いに施設に行った。
母の部屋に行くには食堂兼多目的ホールを通らねばならない。
普段はヘルパーさん、看護士さんから入居者さん達がお世話されているが、年末で静かだ。
扉を開けると目の前にお爺さんと少し離れてポツンポツンとお婆さんが二人おられた。
一斉に目が合って、それぞれに挨拶をするのだが、まじまじと見られるだけ。
年末の家族の訪問を待って居られるのだろう。会釈して通り過ぎる。
三人とも車椅子に乗って一生懸命扉の方を見ておられた。切ない。


今、母がお世話になっている終末ケア専門施設はリハビリ病院もある総合医療施設の中にある。
だから他の自立した入居者対象の施設よりヘルパーさん、看護士さんの人数が多くて全てにおいて
行き届いている。
母は以前はお世話になる人の前で『家に帰りたい』など決して言わなかったが、最近ではヘルパーさん、看護士さんの前でも堂々と言う様になった。
家に帰りたい気持ちを抑える事が出来なくなったのだろう。
一生懸命お世話して下さる人達に申し訳ないと思うが、母の気持ちもよくわかって、哀しくなる。


母は今年で95歳になる。認知症の症状がないので、なおさら気の毒としか言い様がない。
この度は、会った途端『来るのを待っていた。すぐ連れて帰って!』と言われてしまった。
将来いつの日かこんな時が、こんな場面があると思っていたが、まさか今日とは!。
対応を考えていなかったので、日本家屋は隙間風が入って寒いだの、誰もいない所に帰ってどうするの?弟に相談しないと、、、ピントの合わない話しをしてしまう。
どうも私は母に弱い、説得力なさすぎ。
一方母は『今すぐ、、、』を忙しなく、しきりに繰り返す。
しばらくして思い出す、弟がお医者さまから『お母さんを自宅にお帰しするのは難しい』と告げられた
事を。
母は骨粗鬆症になっていて、ヘルパーさん、看護士さんでないと起こしたり寝かせたりする事さえ難しく、骨がバラバラになったらどうする事も出来ないらしい。
やっと本題に入る事ができた。
帰れない理由を話すと母はおとなしくなった。お医者様から直接聞いて知っていると思った。


最初は今入っている同じ総合医療施設の自立した高齢者対象の施設(最近の高齢者向きサービス付き
賃貸住宅)にお世話になった。
個室、ミニキッチン、トイレ、洗面所があって、電化製品、仏壇、家具、楽器、、、は、持ち込み可。共同ランドリー、共同浴場、大食堂(食事は希望者、欠食届け要)。電気代と食事代別途。
母が楽しそうに暮らしていたので,弟夫婦,私も喜んでいた。
ところが何年か経っていろんな理由をつけて母は勝手に施設を出てしまった。
一度退居すると二度と入居出来ない。入居希望者が常に100~150人待ちなのだ。
リハビリ病院,総合医療施設に渡り廊下でつながっていて,ヘルパーさん、看護士さんが多く安心
だった。何よりプライバシーが保たれ母に向いていた。
弟夫婦、私も残念としか言い様がなかった。 
私は母が、一言で言えば『施設の生活に飽きた』と思ったし,本人しかわからない事もありだとも思った。


それから施設の大規模~小規模のグループホームまで短期間、長期間の滞在をしながら入院をしたり,
弟の家に一時帰宅した事もあったが、また施設にお世話になるのを繰り返していた。
自由人の母を父が亡くなってからおよそ30年間、施設を転々と移りながら暮らすのをずっと見てきた。
私にはとても出来ない、私の出来ない暮らしをおよそ30年間して来た母はただ者ではない。
自分の親ながら変に尊敬してしまう。
母は施設の生活で多々経験したに関わらず自分から余り話す事はないので、母にとってこだわって望んだ生活ではなかったと推察するばかり。


30年余り前、父が亡くなって、母が一人で住んでいた家を売った事を人つ”てに聞いた。
結局母の決断を事後承諾で、私は傍観していた状態になった。
母はどちらかと言うとこだわりを強く持っていて、物事を自分の感性と信条で決める人で,その上弟や私が太刀打ち出来ない実行力があったので、自分が住んでいる家を売るのも有りかなと思えた。
母は60歳過ぎた頃で、決断が意外に早かったので私の中に印象深く残った。
まあ,母が考えに考えた結果、決めた筈だし母の老後が安泰なら良かろうと。
当時日本はバブル経済の真っただ中で、父の世代は70歳以上、医療費無料だったし、年金生活者の実態を聞いたりする事に社会全体が無関心だったと思う。
30年間はどう考えても長すぎる。冷静になって考えれば何が起っても変化があってもおかしくない!。
 

私自身の残っている時間がどれくらいあるかわからないが、母と正反対に許される限界まで家にしがみついて暮らしたいと思う。  
家にいて何もしないで,食べないで、呼吸しているだけでもお金がかかる。
だから施設に入ると自宅と施設の両方にお金がかかる。『無理』に絶対がつく。
今年は年金暮らしの『傾向と対策』に学び倹約節約を。
上野千鶴子著『おひとりさまの最期』が発売されてすぐ購入したのに、埃を被って勿体ない。
読んで,読んで、、、少しは制度に詳しくならないと。2018年の介護保険法改正が気になる。
考えると二つとも私の苦手な事ばかり。