『足湯』と雑感(7)
住んで居る所は普通に冬は寒く、時に雪が降ったり、みぞれが降る。
積もった雪の雪かきは、気にする人がする程度だった。雪かきをするのを余り見かけた事がない。
昭和38年、どか雪が降って長靴に雪が入って困った記憶がある位だ。
今年は、冬物の準備をしないうちにいきなり冬になった。厳寒の日々とそうでない日々が交互に
くる。
ストーブは10月半ばから、貼るカイロも手放せなくなった。
我が家は築90年物で隙間が多く、余りの寒さに訪れる人もないが、住んで居るかぎり仕方がない。
年々、寒さが身にこたえると思っていたら今年の寒さは桁がちがう。
テレビや新聞からの情報はその都度規模が大きくなって、とうとう日本列島全体が寒波に覆われて
しまった。
東北、北海道の積雪はとくにひどい、根室市では39,9メートルの最大瞬間風速を観測、その上
高潮? 海水が市街地に流入、この極寒の中で当地の方々の心中を察すると言葉がない。
雪が降る中を傘をさして郵便局に行く。
風がかなり強いので傘を窄めようとしたら、傘ごと身体が浮いて引っ張られたので危なかった。
咄嗟に傘を畳んだので怪我はなかったが、傘をさしているので、よけい怖かった。
もう、止めよう天気の悪い時にウロチョロすまい。危な過ぎる。
天気が悪いので『足湯』に行けない。お昼休みの時間帯は営業マンが多い、同じ様なコートやスー ツを着て鞄を持っている。
この一団は同じ職種でもなく、仲間でもなさそう、個人で活動しているのに『足湯』で同席すると
にこやかに雑談をする。
彼らが去って、30~40歳代の女性に時々会う、私の方がいつも後なので挨拶をするが、チラッと こちらを見るが全く無視。
毎回トップはジャッケットかスーツの上着、ボトムはジャージのズボンを、そしてツッカケを履い ていて黒のトートバッグを持っている。
今から仕事か、仕事の帰りか何とも大儀そうにゆらゆらと去って行く。
『足湯』で会う人達の中で、気にかかるのは彼女。
彼女が人を無視するのも、どんな格好をしてしていようが、そんな事はどうでも良い。
見た目、格好をひたすら気にする人や笑顔、物腰の柔らかい優しげな人がいる。
『外見上が良いからと言って、人間性が良いとは限らない。』
その上、親切そうだったりすると、簡単に無防備に気を許してしまう。
この事は、人間75年もやっていれば、そんな経験はあった。
誰でも一生の間、少なくとも1~2回は経験すると思うが、どうだろう?
だから彼女の見た目を何とも思っていない。むしろ彼女が少なくとも正直に真っ当に生きてる
証拠だと思う。
ただ、若いのに生気がないし、やせているし、健康そうに見えない。
彼女に会うたびに私自身の若い頃を思い出す。
要らぬお節介だと思う、だから何も言わない、でも心配だ。
家族の不幸を一身に背負っているのか、解決出来ない心配事があるのか、、、、。
20歳代半ば、私は自分で決めて実家を出た。社会の事も、経済の事も何も知らなくとも、努力をせ ずとも実家に居る限りご飯が食べられた。将来の見通しも、生活の術も持っていなくて、たちまち
持っていた貯金が無くなってしまった。
社会生活の難しさとご飯が食べられない現実がわかるのに半年もかからなかった。