puffpuff0001 年金生活者のブログ 雨のち晴れときどき竜巻

年金生活その他についての考察あれこれ

小学校時代の放課後(2)

秋の気配が深まると月一回、私は、父に連れられて買い出しに行く様になった。
始発列車に乗る為に早起きをしなければならない。
農家に一刻も早く訪ねて交渉をしないと無駄足になるのだ。 他の人も皆同じ思いだから早い者勝ちで、しかも農家の希望する品物を持っている者が、最優先なのだ。


買い出しの一番の目的は、『米』だ。  スープの様な雑炊でも『米粒』が少しでも入っていたら食べ易い。まだ母親は完全に回復していなかったし、栄養不足で体力がなく寝ている状態で弟も幼かった。
ずばり『筍生活』、、、、筍の皮を一枚、一枚はがすように、農家を訪ねるたびに身につけている物や、
家にある物(着物、洋服、反物、道具類、トランク、靴、おもちゃ、本、その他、、、、なんでも)と
農家から(米、麦、そば粉、野菜、豆類、芋類、、、、食べれるもの何でも)を換えてもらうのだが、
双方の合意がないと、交換は難しい。
どうしても食料を手に入れなければ、飢えるしかない方が、最初から分が悪い。
朝早く行っても『米』は、滅多に手に入らない。
『野菜、いも』または『野菜、豆』でも手に入れば良い方で、手ぶらで帰らなければならない時は悲惨だ。
そんな時は駅よりはるか遠くて、他の人が行かない農家を一軒、一軒訪ねて歩かねばならないのだ。


運良く『米』に交換してもらった時は、『さらしの布』で作った帯状の袋の中に『米』を入れる。
駅近くになると父が米袋を私の身体の周りに巻いて上着を着せる。
『尋問』が何時、何処であるかわからないのだ。
駅構内か、駅付近か、または進行中の列車の中か?
さすがに小学校一年生の私には、『尋問』はなかった。
わかっていても、見逃してくれていたのだろう。
『米』を持っているのが、見つかると『米』は没収、その上罰金をとられる。
『尋問}で、不審をもたれたら、簡単な身体検査をうける事になる。

我が家がある近くの駅に到着して父が米袋をはずして代わってくれたので、身が軽くなってほっとした。
私の買い出しも上着を着る季節だけ。
あの当時の親世代は、よく辛抱し、よく頑張ったと、感心する。