チコの死(3)
8月 暑さが厳しい。チコは24時間エアコンのはいった部屋で過ごす、昼夜逆転になる。
夜になると目を覚まして徘徊が中心になる。
起き上がる、歩く、食事、トイレ全て介助が必要。
8月下旬、食事が出来る姿勢が保てない、支えてもすぐ崩れる。
嚥下困難症で水を飲む事、口に入れた薬、食べ物を飲み込む事が出来なくなった。
短い期間に体重激変、人間で言うげっそりの状態、そのうえ徘徊で顎に傷をつけて悪化が心 配。 獣医先生に診てもらって1 週間に一度注射を受ける。
9月 チコの周りの雰囲気が変わった(静寂)。 犬の匂いがしなくなって、身体をさすってい るとまるで雌の子猫のような感触、身体の隅々まで緊張感がなくなっている。
(小学生の頃、時々何もする事がなくなったら、友達と猫をかまって遊んだ。
髭をきったり散髪をしたり、猫の雌と雄の身体つき、筋肉の堅さが違うとか、、、、その中 でも雌の子猫は、滑らかな、柔らかい、そしてやさしい感触だった。)
9月11日 チコが寝ているのに気配が感じられない。 静かすぎる、おかしい?
ずっと身体をさすっていたが、 心臓はどこ? 脈は?
慌てて雑誌を丸めて耳元で『チコちゃん, チコちゃん チコ、 チコー』 繰り返しよぶ。
突然チコが『フウー』と息をして大きく『キャーン』とないた。
身体をさすっていると二回息をしてだんだん冷たくなっていくのがわかった。
寝姿を整えて足をそろえる。
最後に大きく『キャーン』と、ないてくれたのが、嬉しかった。
一生懸命、頑張ってあいさつをしたのだと思う。
ありがとう、チコちゃん。とても楽しかったよ、本当にありがとう。