お金の話(12)
月日は覚えていない、(昭和40年~41年=1965年~1966年)の冬と言うだけは確かだ。
思い出す毎に、胸の奥がキュ~ウと締め付けられる。本当に恐ろしい光景だった。
『不幸中の幸い』とはこの事か?。
(1)普段は防寒の為に閉めてある三畳の間のカーテンが半分開いていて、石油ストーブの上の真っ赤な炎 の塊が目に吸い付く様に飛び込んで来た。
(2)台所の戸が開いていて、外の風呂場が視野の中にあった。
(3)風呂に水が溜めてあった。
(4)前の家の玄関は鍵がかかっていなかった、ご主人の帰宅時間で奥様は玄関を開けると、すぐ会えた。 『火事です、連絡お願いします』と頼む事が出来たので安心して、一応落ち着く事が出来たのだと思 う。
後で奥様に聞くと、声が出てなかった。私が何を言っているのか、さっぱりわからなかったらしい。
食事をする三畳間に徹底して水をかけたのと、水道を出し放して土間をぬかるみにしたので、元の状態になるのに半年位かかった。
(昭和41年=1996年)3月31日メートル法の完全実施
相変わらずぎりぎりの生活をしていたので、世間の様子には関わりがなかった。未だ私の中では尺貫法が堂々と残っていた。
ある日、いつもの様に買い物に出かけると全く様子が違った。
突然、余りにも突然、計量器が近代化?して品物を乗せれば客も売り手も一瞬にして重さがわかる型式の導入だった。
単位はキログラム、グラム、、、。リットル、ミリリットル、シーシー、、、。
今迄 、食料品は、1匁,10匁、100匁、、、だったのが100グラム、1キログラム、、の単位になった。
100匁は375グラムだが、100g単位になると、買う方は一見単価が安くなって買い易くなった気がするが実際は売る方は値上げをし易くなったと思う。
ほとんどの場合、四捨五入でなく切上げで、毎日物価の上昇を実感する様になった。
実施前まで飲み物、醤油、酢、米など1合、1升で買えたのに瓶入り、袋入りになって、割高で家計を直撃した。
当面、必要な食材を必要最小限、買う生活が一変した。
借家の裏の畑を1坪20,000円で買わないかと勧められて居たが、メートル法の完全実施で土地の売買単位が平方メートルになって、急遽取り下げられた様だった。
近代化、合理化は、お金のない生活者をより困窮させた一方、勤労者の賃金は30年代に比べて40年代は年々上がっていく事になった。
星影のワルツ 千 昌夫
バラが咲いた マイク真木
骨まで愛して 城 卓也 (要る事も、要らない事も言わない父が『骨まで愛して』聞く度
題に反応して、不思議がったのを、おかしく思いだす。)
アニメ おそ松くん 魔法使いサリー
ガソリン1L 48円 かっぱえびせん 50円 新聞総 430円